zumafish's diary

忘れたくないこと

フィル・ナイトが思う禅

私は一直線に考えるタイプだが、禅では一直線の考えは幻想に過ぎず、私たちを不幸にするものの一つとされる。未来も過去もなく、あるのは現在のみ。

あらゆる宗教では自己は障害であり敵とみなされる。それどころか禅では自己は存在しないと明確に述べられている。自己とは自分を映す鏡であり、熱に浮かされて見た夢である。自己の存在を頑なに信じるがために己の人生を無駄にし、人生を縮めている。

自己とは自分に対して日々繰り返す虚言であり、幸福になるためにはこの虚言を見抜き、消し去らねばならない。

道元は"己を知ることは己を忘れることなり"と語っているを心の声も外の声も全て同じで、それを分かつ境界線は存在しない。

特に競争にそれが当てはまる。禅では勝利は自己と敵の存在を忘れた時に訪れるそうだ。敵は全体を半分に分けたうちの一つに過ぎない。"武士道が完成に至るのは、己にも相手にも、敵にも敵の持つ刀にも、己の持つその刀にも、己の刀の振り回し方にも翻弄されなくなった時だ。全ては無である。己自身も、きらめく刀も、振り回す武力も無である。無の概念すらも存在しない。